タカラヅカとオフィーリア

どこかの宮殿宝塚作品考察

オフィーリアといえば、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』のヒロインです。今日はそんなオフィーリアと宝塚歌劇団との関係について紹介していきたいと思います。

オフィーリアとは

オフィーリアは、『ハムレット』に登場する悲劇のヒロインです。彼女は王子ハムレットと恋愛関係にありました。内大臣であるオフィーリアの父は、「ハムレットはお前を弄んでいるだけだ」と言って二人の関係に反対します。

ハムレットは、父であるデンマーク国王が死んだのは、父の弟であるクローディアスの仕業であったことを知ります。その日から復讐を誓ったハムレットは狂気を装います。そしてハムレットは恋人であるオフィーリアに対して「尼寺にでも行け!」と言うのです。ショックを受けたオフィーリアは川で溺死してしまいます。

この「尼寺にでも行け!」というセリフ、現代の我々からすると何が衝撃的なのかよくわかりませんよね。

このセリフの意味をめぐっては、今も議論が分かれているようです。一つは、「尼寺」という言葉は売春宿を指しており、ハムレットはオフィーリアに「売春婦になれ」といったという解釈。もう一つは「尼寺」とは文字通り修道院のことで、「オフィーリアにだけは汚れた俗世から離れていてほしい」という願いが込められているというものです。

この悲劇的なヒロインは、多くの芸術家の心を捉えました。ブラームスは「5つのオフィーリアの歌」という歌曲を作曲していますし、古典主義からラファエル前派に至るまで、数々の画家たちの絵画の主題ともされました。

その中でも特に有名なのがこちらの絵画。イギリスの画家、ジョン・エヴァレット・ミレー(Sir John Everett Millais, 1829-96)が1851-52年にかけて制作した作品です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/オフィーリア_(絵画)

ミレー(Sir John Everett Millais, 1829-96)は、小川に浮かぶオフィーリアの姿をキャンバスに描きました。儚げで美しいですね。ロンドンのテート・ブリテン美術館に所蔵されています。

2022年の星組公演『ベアタ・ベクトリス』では天飛華音さんがジョン・エヴァレット・ミレーを演じていましたね!

宝塚歌劇団とオフィーリア

そんなオフィーリアですが、これまでも宝塚歌劇団の舞台で演じられたことがあります。

時代を追ってみていきましょう。

『ハムレット』(1949年雪組、花組)

堀正旗(1895-1953)の作・演出で、1949年1月1日から1月24日に雪組(ハムレット:春日野八千代、オフィーリア:乙羽信子)1月26日から2月16日に花組(ハムレット:越路吹雪、オフィーリア:新珠三千代)で上演されました。

『ハムレット』(1969年雪組)

続いて20年後の1969年鴨川清作(1925-76)潤色・演出で雪組によって上演されました。ハムレットは真帆志ぶきさん、オフィーリアは大原ますみさん。音楽はショパンのピアノコンチェルトが使用されたようですが、どんな感じだったんでしょうか(そもそも1番と2番、どっちのコンチェルト?)。鴨川清作先生といえば『ノバ・ボサ・ノバ』ですよね!

『HAMLET!!』(2010年月組)

2010年に藤井大介の脚本・演出によって月組で上演されました。龍真咲さんのバウ初主演作です。オフィーリアは蘭乃はなさん。

私はこの作品見たことないんですが、錚々たるキャストメンバーですね。としさんにちなつ、たまきちにあーさも出演している!これは見なければ。私はちなつさんが大好きなのです……!

しかもVOCEでおなじみの美夢ひまりさんも出ている……!

中古しかなかった……。

『うたかたの恋』

そして『ハムレット』といえば!現在花組さんが上演している『うたかたの恋』でも劇中劇として登場します。苦悩するルドルフ皇太子の姿がハムレットに重ねられています。

今回の公演でオフィーリアを演じられるのは、107期の七彩はづきさん。大抜擢ですよね!今は休演中のようですが、ゆっくり休んでまた舞台で元気な姿を見せてほしいです。

死なないで、オフィーリア……

数多くの古典的名作と呼ばれる作品のなかで、ヒロインは死にます。『カルメン』然り、『蝶々夫人』然り、『椿姫』然り……。例をあげていけば枚挙にいとまがありません。

『オフィーリア、まだまだ』という曲があります。公式のリンクがあるので貼っておきます。

見逃し
「どーがレージ」に掲載されている見逃し動画を新着順に紹介します。

これは井上涼さんというアーティストの作品で、NHKEテレの番組『びじゅチューン!』で放映されました。

もしかしたらご存知の方も多いのかもしれませんが、『びじゅチューン!』を知らない方のために少し説明しておきます。『びじゅチューン!』は世界の著名な美術作品を、歌とアニメーションで紹介する番組です。井上涼さんというアーティストが一人で作詞、作曲、演奏、アニメーション制作をしています。井上さんは有名な名画を独特の発想で解釈していて、ユーモアに富んだ歌詞とゆるふわな雰囲気がクセになります(私は実は井上涼さんの大ファン)。

この『オフィーリア、まだまだ』という曲は、小川に落ちたオフィーリアが実は背泳が得意で、なんか恋人からムカつくこと言われたけど空は青いしこれからも頑張るぞ!みたいな歌詞です。雑なまとめですみません。

私はこの曲が大好きなのです。「まだまだ溺れちゃいられないのよ」とか「まだまだ笑うには早すぎる」とか、切実でありつつもポジティブな歌詞で、「ああ、実際のオフィーリアもこうだったら死ななくてすんだかもしれないのになあ……」と思います。なんとなく家父長制への抵抗とも受け取ることができて好き。

おわりに

今回は宝塚歌劇団とオフィーリアの関係をまとめてみました。とりあえず私は2010年のHAMLET!!を見てみたいと思います。ロック・オペラだなんてそれだけで楽しみすぎる……!

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