『ひかりふる路』の何が好きなのか

ひかりひかりふる路

今回は、『ひかりふる路』のどこに私がこんなにも惹かれているのかを紹介したいと思います。ネタバレも含んでおりますので、まだ『ひかりふる路』を見ていない方はご注意ください!

初っ端からシビれた

冒頭、妖しげな雰囲気を漂わせるロラン夫人とタレーランの意味深な会話から始まり、「一体何が始まるの……?」とわくわくしたところで、あーさ(朝美絢)演じるサン=ジュストに完全にノックアウトされました。国王の処遇をめぐって紛糾する議会で、「国王であることこそが罪なのだ」と朗々と歌うサン=ジュスト。こんな演説されたらそりゃ国王処刑に傾くわ……と納得のシーンでした。本当に、生でこれを見たかった……。

国王が真っ白な衣装で、スポットライトもあたっているので一人輝いているように見えるのがとても印象的でした。国王が処刑されるシーンもおしゃれで良かったです。

処刑されたということが、背景の赤い線によって示されるのですが、この赤い線こそが「ひかりふる路」の(闇の)道筋であり、かつギロチンの刃でもある。ロベスピエールが恐怖政治を宣言する場面でも赤い線が効果的に使われています。ギロチンの刃が随所で印象的に使われているのが、どことなくアンジェイ・ヴァイダの映画『ダントン』を彷彿とさせて好きでした。闇の、と書いたのは、おそらくこの赤い線は革命の闇の部分(そしておそらくは歩んではいけなかったであろう道)であり、本当の「ひかりふる路」は別にあるからです。

舞台を貫く一本の線は、至高の存在の祭典のシーンでも出てきます。このときの線の色は赤ではなく白なのですが、周りがだんだんと赤色になっていきます。これはロベスピエール自身が殺されそうになっていることを示している一方で、輝かしい理想が真っ赤な血で汚されていくということも表現していそう。

そして、本当の「光」ふる路を表しているのはおそらく、背景に示される放射線状の光です。ロベスピエール初登場シーンでは、ロベスピエールが民衆とともに彼の理想を歌い上げるのですが、このときは背景にこの放射線状の光が映し出されています。そして最後のシーン。ロベスピエールが断頭台へ向かうときにも、この放射線状の光が、まばゆいばかりに断頭台への道筋を照らすのです。赤い線=革命の闇の部分(そしておそらくは歩んではいけなかったであろう道)であり、放射線状の光=革命の華々しい部分、ということが示されているのかなと思います。自分の処刑が「ひかりふる路」になってしまうのはとても悲しいことですが、それゆえ希望が最後にも残される、というなんとも複雑なエンドになっています。そしてこの複雑な結末が、この赤い線と放射状の光との対比で示されているのです(多分)。さすが生田先生。

音楽が良い

本っ当に良い……! もう全ての曲が好きなのですが、個人的にはやはり「葛藤と焦燥」が一番好きです。魂が震える。

「大胆にいこうぜ」とか「今」などが後半でリプライズされているのも好きです。前半で歌っていたときはあんなに楽しそうだったのに、後半ではこんなにも悲しくなるなんて……。

それから、国王裁判のときの音楽がテルミドールのクーデターの際にリプライズされるのもたまらない。テルミドールのクーデターのときは、もっとものものしい感じに編曲されてますよね。最初は国王を裁く側だったのに(『ひかりふる路』では国王裁判のシーンにロベスピエールは登場していないんですが)、最後は自分が裁かれる側になる。構造としてもとてもきれいです。

演出が良い!

演出も全体的に好きなんですが、一番好きなシーンをあげろといわれたら、テルミドールのクーデターのシーン。

明らかにロベスピエールに敵意をもつ人々が集まるなかで、一度は発言を却下されながらもどうにか演壇にのぼったロベスピエール。ロベスピエールは息も絶え絶えに演説を始めますが、もはや彼の言葉は民衆には届かない。完全に絶望しきったところで、ロベスピエール以外の人たちの演技がスローモーションになり、時間がとまっているかのような錯覚のなかでロベスピエールが正直な心情を吐露し始める。もうここのだいもん(望海風斗)の演技がすさまじい。

そしてロベスピエールの逮捕が決定されると、ロベスピエールの周りに民衆が集まってきて、その民衆たちによってロベスピエールが持ち上げられ倒れていきます(伝われ)。ロベスピエールが、革命という一人の人間の意志を超えたところにある大きな波のなかに呑まれてしまった様子を描いているようでとても切なくなりました。

ストーリーも良い!!

特に一番好きなのが、この二人の関係性自体が革命に運命づけられており、決して結ばれることができないということです。貴族として生まれたマリー=アンヌは、革命によって家族と恋人を殺されたことから革命を恨み、「革命そのもの」といわれているロベスピエールを暗殺しようと近づきます。しかしマリー=アンヌは、革命に燃えるロベスピエールの理想が「愛する人と幸福な暮らしを送りたい」という素朴な、そして彼女自身も願っていたこと(革命によって奪われてしまったけれど)であることを知ります。最初は反感を抱いていた(暗殺しようとしていたのだから反感どころではないかもしれない)ヒロインが、主人公の理想に触れ恋に落ちる。結構ありがちなストーリー展開だと思います。しかしこの物語がそういうありがちな物語で終わらないのは、まさに二人の最後です。

牢獄で再会したロベスピエールとマリー=アンヌ。処刑を目前にしたロベスピエールは、「もしもわたしたちがこんなかたちではなく、普通に出会えていたら」と切り出します。二人が普通に出会い、恋人となり、家族となって生活する。「そんな人生がどこかに」とロベスピエールが言ったところで音楽(「理想と願い」)が途切れ、一瞬の沈黙のあとでマリー=アンヌが「いいえきっと出会うことすらなかったわ」と答えます。ロベスピエールも、「ああ。お互いの存在すら知らずにいただろう」と返します。

この言葉には鳥肌が立ちました。ひんやりと背中が寒くなる感覚。そう、本来ならば出会うはずのない二人が、恋に落ちてしまった……というのがこの作品のポイントなんですよね。だから革命がなかったらそもそも出会うことがないのだから、恋に落ちることもない。二人の幸福な人生を夢想することすらできないはずなのです。

でもこんな言葉のあとに、二人は幸せそうに「今」を歌うんです。そう、二人が思いを確かめ合ったあの曲を。

革命が二人を導き合わせた。しかし革命こそが二人を引き裂く。このどうにもならない切なさ。

トップコンビが結ばれないどころか、トップスターが処刑されて終わるという、宝塚としては異質な物語で、しかもこれがトップコンビお披露目公演であったということに引っかかるひとも少なからずいた模様ですが、私は個人的にはこの切なさが大好きです。

結論:全部好き

以上、『ひかりふる路』の個人的な好きなポイントをまとめてみました。色々と書き連ねてきましたが、結論としては『ひかりふる路』の全てが好きってことです。笑 まだ見ていない方はぜひ見てみてください!

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