ロベスピエールが今、アツい

人権宣言フランス革命読書記録

今回は、ロベスピエール関連で現在連載中の面白い作品について紹介したいと思います。といっても2本だけなので「アツい」かと言われると微妙ですが、私は毎回歓喜して読んでいます。備忘録も兼ねてここに記録しておきます。

『ロベスピエール 民主主義の殉教者』

webマガジン「考える人」で、2022年5月から『ロベスピエール 民主主義の殉教者』という記事が連載されています。著者は明治大学政治経済学部准教授(専門は政治学・政治思想史)の高山裕二さん。

こちらから読めます↓

ロベスピエール 民主主義の殉教者 | 高山裕二 | 連載一覧 | 考える人| シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン。 | 新潮社
フランス革命において「真の民主主義」を追求したがゆえに、次々と政敵を処刑する「恐怖政治」の権化となり、自らもまたギロチン台の露と消えたロベスピエール。その生涯を辿り直し、民主主義に内在する「魔性」を浮き彫りにする。

ポピュリズムが進む現代において、「独裁者」として負の評価を与えられがちだったロベスピエールを「民主主義の殉教者」として再解釈しようという試みです。

毎回、「うんうん、うんうん」と首がもげるほど頷きながら読んでます。

「ロベスピエールが好き」と言うと、「じゃあお前はヒトラーも擁護するというのか」と言われてしまうのではないか……と思って、私はあまりロベスピエール好きを公言していません。このサイトでも、実は若干ビビりつつロベスピエールオタクと名乗っています(オタクと言っても盲目的にロベスピエールが好きなわけじゃないので、ときには彼を批判することもあると思いますが……)。まあ、ロベスピエールとヒトラーを一緒くたにするのは大分雑なんですが、世間一般のひとにしてみればどちらも大量殺戮を行った指導者という認識だと思うので、そういうことを言われる可能性もあるのではないかと考えてしまいます。

もちろん、ロベスピエールはたくさんの人を断頭台に送りました。その罪は決して消えるものではありません。

しかし彼は同時に、生存権や民主主義を追求し、現代社会の礎を築いてきた人物でもあります。このような彼が残した功績を考えることも大事なのではないでしょうか。

私は常々そう思ってきたので(常々といってもロベスピエールにハマってからなのでここ数年の話)、今回このような連載が始まって本当に嬉しかったです。民主主義自体が揺らいでいる現代にあって、ロベスピエールの思想は我々に新たな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

この連載はのちに書籍化されるんですかね。楽しみです。

『断頭のアルカンジュ』

メイジメロウ/花林ソラさんによる漫画です。現在、webゼノン編集部で連載されています。

こちらのサイトから読むことができます。↓

断頭のアルカンジュ - メイジメロウ/花林ソラ / 第18話 復活Ⅱ | ゼノン編集部
時はフランス革命——。ルイ16世、マリー・アントワネットを斬首台に送り、「死の天使長」の異名を持つ革命家がいた。彼の名はサン=ジュスト。悪事を働く貴族たちを残虐かつ凄惨に処刑していく彼の行動は、やがて「革命」という大きな時代の転換点へと繋がっていく。これは愛のためにフランス王国を殺した男の物語。

無料で読めるエピソードもあります。この漫画は「サン=ジュストの復讐譚」というコンセプトなこともあり(キャッチコピーは「フランス王国を処刑で革命する」)、もしかしたら画像を見てうっ……となるひともいるかもしれないので注意してください。大丈夫な方だけ読んでみてくださいね!

こちらはロベスピエールではなくサン=ジュストが主役なのですが、もちろんロベスピエールも出てきます!

ロベスピエールとサン=ジュストの関係性が斬新。これまで二人の関係性は本当に様々に描かれてきたと思うのですが、この解釈は初めて見た気がします。最初はロベスピエールのビジュアルにもびっくりしました(ほめてる)。こんな解釈の余地があったのか……!と作者の発想力にひれ伏しました。

サン=ジュストの人物造形も今までみたことがない新鮮な感じです。妹や友人に対する愛に溢れていて、「サン=ジュストにそんな可能性が!!」とびっくりしました。

それからアントワネットが可愛いし、ルイ十六世が屈強。こんなルイ十六世みたことない!

あと個人的にはジャン・チュイリエというキャラクターが出てくるのが嬉しかったです。これって多分サン=ジュストの幼なじみで、秘書も務めていたというピエール・チュイリエがモデルですよね??(違かったらごめんなさい)

史実では、ピエールはサン=ジュストが処刑された直後に病気で亡くなったそうです。サン=ジュストが故郷で不良青年(?)だった頃も、パリでイケイケ革命家として活躍している頃も一緒にいたピエール・チュイリエ。これまであまり脚光を浴びてこなかった人物だと思いますが、一体どんな気持ちで一緒にいたんだろう……とかなり興味のひかれる人物です。

サン=ジュストにロベスピエール、アントワネットにルイ十六世と、これまで数々の作品で描かれてきた人物たち。ある程度「このひとはこんな感じ」というイメージが定着しているかと思うのですが、そんな先入観を覆してくれる面白い漫画です。

今後の展開も楽しみです!

気になった方はこちらからどうぞ!現在2巻まで発売中です。

おわりに

今回は『ロベスピエール 民主主義の殉教者』『断頭のアルカンジュ』の2つを紹介しました。一次資料の緻密な検証とこれまでの知の蓄積に基づく学術的なロベスピエール解釈と、想像力を駆使した新たなロベスピエール像。私はどちらも大好きです。改めて、ロベスピエールが人々に喚起するイメージの幅広さに驚かされました。どちらもおすすめなので、ぜひ読んでみてください!

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