1789のキャスト別感想第2回目の今回はオランプの舞空瞳さんについてです。
一番納得できる役作り
今回の星組版はオランプとロナンの恋愛を中心に据えていたということもあり、より2人の心情の変化がわかりやすくなっていました。
そもそもパリ版自体があまりストーリーに重きを置いていないというか、史実の正しさよりも革命当時の雰囲気をダイレクトに伝えるぜ!といった作風なので、これまでは私も「まあそんなもんか〜」と思ってみていたのですが、今回は細かいところまでストーリーが作り込まれていましたね。ちなみに当ブログでは史実史実とばかりいっていますが、個人的には「史実をあえて無視して当時には絶対ありえないことをする」という作風、大好きだったりします。ということなのでフレンチロックミュージカルは大好き。
さて、1789の話に戻りますと、東宝版と同様、オランプが「許されぬ愛」を歌うということもあり、オランプの気高さが強調されていたように思います。
正直、これまでのオランプはいまいち掴みづらいな〜と思っていたのですが、今回のなこちゃんオランプはしっかりと本人の意志、気の強さのようなものが伝わってきました。「侍女ではなく王太子の養育係です!」とか、「私の父はバスティーユを守っております(爆薬庫だけど)」というセリフ、実はこれまでは特に気に留めていなかったのですが(おい)、今回のなこちゃんオランプからは、自分や家族の仕事にしっかりとプライドと責任を持っているんだなということが伝わってきました。
きっと、オランプは誰かをサポートする仕事が好きなんでしょうね。1789では、オランプが革命思想や王政についてどう思っているのかがいまいちわからない気がします。実際、ロナンや革命家たちは自由や平等というセリフを言ったり歌ったりしますが、オランプはあまり政治的なことは口にしません。せいぜい、ロナンに対して「あなたも王政に反対なの?」と言うくらい。
こういったところから、私は、オランプはアントワネットが王妃だから(王政の支持者として)仕えているのではなく、アントワネットを喜びも悩みもするただ1人の人間として受け入れ、誠意をもって仕えているのではないかと考えます。
革命家たち男性は世界の悲惨を社会の構造に求めているけれど、オランプをはじめとする女性陣は、「社会や時代が変わってもどうにもならない人間の悩みや苦しみ」に向き合っている気がします。だからこそ、オランプは社会批判から一歩距離を置いているのではないかと思います。
そう考えると、オランプが最終的にはロナンのもとへいくというラストも納得できます(私的には)。オランプは自分の仕事に誇りを持っているけれど、彼女は誰かをサポートするということが好き(実際仕事の内容もこれ)。実は私は、やっぱりオランプがアントワネットのもとを去ってロナンのところへ行くのが納得できないな〜と思っていたのですが(この点については有沙瞳アントワネットの感想で詳しく書くかも)、こう考えると納得がいきます。きっとオランプはロナンをサポートしたいのであり、ロナンが信じるものが王政だろうが革命思想だろうが気にしないのかもしれません。
私の見解では、オランプはそのひとを「ただそのひと」として見ることのできる人間であり、社会の変革を目指す革命家や民衆とは一線を画しています。1789が抜きん出ている点は、こうした多様な人間を描いている点なのかなと思います。
コメディ感が強い
それから今回のなこちゃんオランプは、これまで見たどのオランプよりもコメディ感が強かった気がします!ラマールに「ロナンが嘘をついてるのよ!」というシーンですね。ここ、こんな笑いが起きるシーンだっけ?となりました。笑
礼真琴ロナンとの掛け合いがぴったりハマっていました!
おわりに
なこちゃんのオランプはキュートでありながらも芯があって最高だったのですが、やはり考えれば考えるほど、オランプという人物像がよくわからなくなります(ここまで書いたのに)……。
そもそもこの作品は「考えるな!感じろ!」というタイプなので、これで良いのかもしれませんが、もう少しオランプのキャラクター造形についてわかるようなセリフや歌があれば良いような気がします。
東京公演も観劇予定なので、そちらを見たらまた印象が変わるかもしれません。が、ひとまず今の感想として記録に置いておきます。
キャスト別感想、まだまだ続きます!
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構造と個人についてというテーマは社会学でよく取り上げられるものだと思いますが、宇佐美りんさんのこちらの本の主人公も似たようなことを言っています。たとえ社会が変わったとしても、人間の悩みや苦しみは続くのだろうか。
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神!!!舞台写真は売り切れ続出なので、ぜひこちらを!!
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今からでも遅くはない!ananの星組特集です↓
とりあえず、まずは一冊読んで欲しい『小説フランス革命』。1789をまた違った視点から見れるはずです!
多分、私が一番推している映画。1789のその後、革命家3人が決裂していく様子が描かれています。
絶望に突き落とされてください!
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