2023年の11月に行政書士試験を受験し、法律初学者の状態から独学6ヶ月で合格しました。ちなみに勉強時間はかなり短く、350時間くらい。しかも勉強を始めて最初の3ヶ月はほとんど勉強しておらず、10月になって焦り出して1日6時間ほどの勉強を続けて合格しました。
※以下に私の勉強法をまとめますが、人によって合う勉強法は様々だと思いますので、「ふーん、そんな人もいるんだ」という程度で読んでください。絶対に合格したいなら、やはりそこは専門家、予備校の先生方のアドバイスを聞いた方が良いと思います!!
なぜ行政書士試験を受けようと思ったのか
行政書士を目指していたから!……ではなく、法律に興味があったからです。
私はフランス革命、特にロベスピエールに関心があります。フランス革命について少し調べてもらえればわかると思いますが、革命家の中には法律家が多いです。ギロチンのイメージがあるロベスピエールですが、彼も当初はいわゆる人権派弁護士でした。フランス革命はいうまでもなく、人類史に残る大事件であり、現代の礎となった出来事です。そのフランス革命を率いたのは法律家。つまり法律家は社会を、世界を変えることができる!なんてかっこいいんだろう!という憧れと、ロベスピエールにもっと近づきたいという気持ちから法律に興味を持ち始めました。彼が専門にしていた法律と、私が学ぶ法律は違いますが、法的思考を身につける、夜な夜な条文を読む……そんなことを通してロベスピエールに対する理解をさらに深めたいと思ったのです。
こうして法律に興味をもち、少しずつ基本書を呼ばれるものを読むようになったのですが、とにかく続かない。難しい。時間もない。言い訳ばかり。
これではいけない、と喝をいれるために思いついたのが、法律系の試験を受けるということでした。目標があれば勉強を習慣づけられると考えたのです。
そこで調べると、法律系の資格にも様々なものがあることがわかりました。ちょうどそれが2023年の5月頃だったので、今から申し込んでも間に合う試験を探し、見つけたのが行政書士試験です。内容も憲法、行政法、民法、商法とバランスよく、しかもマーク式が多めなので初学者でも何とかなりそうと思い、すぐに受験を決意しました。
勉強方法
いきなり問題集を解く
5月に受験を決意して、すぐに購入したのがこちら(便宜上、今年度のものを掲載します)。
この2冊を並行して進めていきました。テキストを読んでから問題集を解くこともありましたし、テキストを読まずいきなり問題集を解くこともありました。後者の場合は、もちろんさっぱり意味がわからないのですが、何が問題となっているのかを把握することができるので、後のインプットの効率があがると思います。
テキストを読まずにいきなり問題集を解くことにはいくつかメリットがあると思うのですが、その中の1つは先ほども述べたように①インプットの効率があがる、②飽きないということです。
②飽きないというのはけっこう大事なポイントだと思います。というのも、法律系の文章は初学者にとってはかなりとっつきづらいです。上記で紹介したテキストは初学者にもやさしい言葉でわかりやすく説明してありますが、それでも私の場合は何度も読むのが面倒くさくなりました。しかし問題集の場合は、明確に◯✕がでるので、ゲーム感覚で進めることができます。何もわからないことが悔しい。テキストを読む。「さっきの問題で問われていたのはここか〜」と納得する。私にとってはこれが好循環となりました。
知識のメンテナンス
インプットとアウトプットが大事なのはもちろんのことですが、それと同じくらいに大事なのが知識のメンテナンスです。覚えた!と思ったことでも、次の日になると忘れていることなんてしょっちゅうあります。私の場合は、忘却曲線を利用して復習するようにしていました。
じゃあ復習って何をするのか?というと、私の場合は「アクティブリコール」という勉強法を行っていました(名前がついているのを後から知った)。お風呂に入っているとき、歩いているとき、髪をかわかしているときなど、隙あらば自分に問題を出し、そこから派生する知識も思い出すようにしていました。
また、行政書士試験で覚えるべき内容は(初学者にとっては)膨大で、まとめノートを自分で作る時間もなかったので、こちらの本を買い足しました。
最新版は内容を確認していないのでわかりませんが、2023年度版は重要事項が判旨とともにまとまっていてとてもコンパクトでわかりやすかったです。かゆいところに手が届く、といった感じでした。どこに出かけるにも持ち歩いて、気になったときにささっと確認していました。ちなみに今でもたまに使っています。
それから夏くらいにこちらの本も買い足しました。ちなみに記述式については、正直よくわからないまま試験に挑みました。ネットで調べると採点基準やコツについて色々とでてくるようですが、いかんせん無知すぎて(?)それすらしなかった……。試験当日、私は句読点が1文字分余ってしまったり、誤字をしてしまったりというミスがあったのですが、実はこれらも減点対象になるらしい(??真偽は不明です)という情報を試験後に得て、かなり落ち込みました。記述式のさじ加減がわからない、というのは独学のデメリットの1つかもしれませんね。
模擬試験
様々な予備校が行政書士試験の模擬試験を行なっています。
私は直前模試を受けようと思っていたのですが、体調を崩し、申し込みさえしませんでした。
予備校もいかず、模擬試験も受けず、そんなんで受かるのか……と不安になりましたが、気を取り直して市販の模擬試験を購入することに。ちなみに直前になると売り切れてしまうこともあるので、早めの購入をおすすめします!私は合格革命シリーズを信じて勉強しようと思っていたため、同シリーズの模擬試験を買いたかったのですが、売り切れていました……。
まだ今年度版は出ていないのか、リンクが見つからなかったので、昨年の2023年度版です↓
それから以下は購入しなかったのですが、図書館で借りて解きました。数年分解いたと思います。
↑上述の通り、合格革命の模擬試験は購入できなかったので、過去のものを解いていました。
問題集を完璧に
ここまで偉そうに(?)勉強法について語ってきましたが、10月に模擬試験を解くと、正答率は40%。合格ラインは60%ですから、まだまだ追いつきません。ここでかなり焦り始め、とにかく毎日、忘却曲線に合わせて、問題集(肢別、記述式、模擬試験)を解くことにしました。目標は全て完璧にすること。できなかった問題に印をつけ、正解するまで何度も解きました。
正直なところ、10月までの勉強時間は1日1〜2時間で、完全になめきっていました。ここから追い上げて、空いている時間は全て勉強に費やし、結果的には1日6時間ほど勉強していました。
それから予備校の先生方でブログをやっている方がいらっしゃるので、そういったブログを見てモチベーションを保っていました。先生方のブログを読んで「自分、あの問題について全然わかってないじゃん」とか「この時期はこういう勉強をすれば良いんだな」ということがわかったので、けっこうおすすめです。
番外編:基本書
行政書士試験に合格するために、基本書を読む必要はもしかしたらないのかもしれません。
しかし基本書を読むと、「AはBだ」という知識を丸暗記するよりも、「〜という背景や理由から、AはBだ」と理解することができると思います。私の場合は、丸暗記するよりも、なぜそうなったのか理解してから暗記する方が知識の定着率が高めでした。そこでどうしても暗記できない事項は、基本書を読んで理解するようにしていました。ストーリーを理解すれば、自ずと結論を導き出すことも可能ですから、時間のある方は読んでおいて損はないと思います。
基本書とまではいわなくても、薄めの入門書を読むだけでもかなりとっつきやすくなるのではないでしょうか。
試験当日
3時間、水も飲めずにもつのか私の集中力と体力……と思ったのですが、あっという間でした!
体感としては、ギリ受かったか受かってないか、というくらい。憲法は聞いたこともない話ばかりでしたが、民法がそこそこできたのと、運が良かったのか、怯えていた一般知識(今年度から形式が変わるそうです)がかなり解けました。行政法はかなり悩む問題が多く、商法はほぼ勘でしたね。
試験後はカフェに駆け込み、予備校の解答速報の配信を見ながら自己採点しました。マーク式のみ自己採点をして、この時点で176点。合格点は180点ですから、よっぽど記述でミスをしていない限り合格できそうな点数です。しかしマークミスをした可能性もあるし、記述が0点の可能性もあるし…と合格発表までは不安な時間を過ごしました。
そして1月になりようやく迎えた合格発表。結果は合格でした!目標点には届きませんでしたが、かなり余裕のある点数で合格することができました。
ちなみに総勉強時間は350時間ほどでしたが、これは問題を解いたりテキストを読んだりする時間のみをカウントしています。隙間時間に勉強内容を思い出したり、基本書を読んだりしていた時間は入れていないので、それらも入れるともっと増えるかなと思います。
合格後は?
法律系の仕事に転職
行政書士試験に合格し、行政書士になりたいのであれば、行政書士会に登録する必要があります。
前述の通り、私は純粋に行政書士になることを目指して勉強を始めたわけではありません。あくまでも法律勉強の習慣化のためでした。
しかし行政書士試験の勉強をしたり、行政書士の業務内容について知ったりするたびに、「法律を通して人を助けることができたら素敵だろうな」という気持ちがわいてきました。
しかし私は行政の現場で働いたこともなく、何より行政書士試験を通して自分の知識不足を感じていたため、いきなり開業する自信はありませんでした。そこで行政書士事務所に転職しようかと考えました。色々と悩む日々が続いた頃、ご縁があって、行政書士事務所ではありませんが、法律に関する仕事を紹介していただきました。現在はこちらに転職して働いています。行政書士試験に合格したことが転職に活きたかどうかはわからないのですが、業務内容としてはかなり役立っていると感じます。ただ、やはり行政書士試験の内容だけだと足りないと感じることも多いです。現在は会社法について勉強する日々です。
行政書士試験合格はあくまでスタートライン。行政書士になってもならなくても、合格したことで得られる変化はあると思います。
法律の魅力を再発見
さて、私が行政書士試験を受けた目的は法律勉強の習慣化でしたが、こちらも達成することができました。今は以下の本を読んで、会社法と刑法について勉強中です。
ちなみに合格後は、行政書士試験の範囲ではない刑法についても勉強しました。それからずっと読みたかった芦部憲法、有名な『憲法ガール』も!試験勉強でよく出てきていたあの宇賀克也裁判官の行政法概説を読めたのも感動しました。試験にとらわれず、好きなことを学べるのがとても嬉しかったです!試験を受けなければこんなことは思わなかったはずなので、大きな収穫ですね。
これからも法律の勉強を続けていきたいと思います。今後は知的財産法について勉強するつもりです。
それからせっかく合格したのですから、いつかは行政書士業務に携われると良いなと思います。
おわりに
以上、私が行政書士試験に合格した勉強法でした!
私の例からもわかるように、初心者が独学で合格することも可能だとは思いますが、方向性を見誤る、独学でおかしな理解をしてしまう、というリスクもありますので、もし時間や経済的に余裕があれば予備校に通うのもアリだと思います。ただ独学、短期間での合格も不可能ではないので、独学で頑張られている方は絶望せず(私は何度かした)試験に向けて歩んでいってください!